攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG

評価  90 
種別・放送期間  スカパー・2004・1〜(26)
TV・2005・4〜(26)※第2話未放送
原作  マンガ、小説、オリジナル(パラレルワールド)
ジャンル  SF アクション 警察 公安9課
制作  Producion I.G バンダイビジュアル
オススメ視聴媒体  youku(にこびで) veoh
関連サイト  公式 Wikipedia 攻殻機動隊の地理 ファンサイト

1期を見た流れでそのまま見たがシナリオは1期より複雑。
 1期の数年後だと思われ1期で解散に追い込まれた9課が再生するところから主に「個別の十一人」と「招尉難民」に関する問題と内閣情報庁(内庁)の陰謀について描かれているが、1期とは違い全ての話を本筋の「個別の十一人」にリンクさせ、ショートストーリーが極端に少なくなっている。それゆえに本筋に奥行きは感じるが(またアクションが少ないようにも感じた)少し物足りなさを感じる。

とここまで〜23話の感想だったが
やっぱり最後はやってくれたか!こいつは神!

音楽も秀逸!ぜひニコニコでサントラでも聞いてくれ!

〜各話タイトル〜
1〜2個別の十一人
3ダッチワイフ
4〜9個別の十一人
10トグサ(裁判)
11モトコ
12個別の十一人
13パズ&個別の十一人
14サイトウ
15タチコマ
16〜17個別の十一人
18ベルリン
19〜26個別の十一人


 個別の十一人・・・難民受け入れを否定する者達の集団。元ネタはJ・D・サリンジャーパトリック・シルベストルの著した革命評論による。J・D・サリンジャーパトリック・シルベストルは生前10の評論を書いたが日本の五一五事件について書いた幻の評論「個別の十一人」。それを見ることによって「個別の十一人」というウイルスを発祥するように仕向けた人物がいる。
(J・D・サリンジャーは1期で登場した「ライ麦畑でつかまえて」の作者でした)
招尉難民・・・戦後アジアで発生した難民を中国が拒否したため日本が受け入れた。
クゼ・・総理大臣襲撃(4話〜)
コタンカンジ・・エネルギー省脅迫の容疑がかけられていたが逃亡中に事故死(5話)
プルトニウム・・内庁がある計画のために極秘裏で発掘させていたプルトニウム。
Stand Alone Complex・・・独立した1人1人の個人が知らず知らずに1つのこと(目標)に向いて動いていること。
「笑い男」に共感して結成した実体なき模倣犯、クゼに応答した難民などがそれに当たる。
アンドロイド、バイオロイド・・死ぬと白い液(今のところ用途不明)
 電脳・・誰もが脳から直接ネットにつながることのできるようなシステム。時代背景的に誰もがこの電脳化をできる時代で「電脳化した者同士ならリアルタイムで通信や、記憶や視覚情報や触覚情報を共有できる」。また現代のような情報を取り寄せる(ダウンロード)のではなくネット(情報の海)に意識が直接入り込むこと(ダイブ)で情報を得る。これらにより脳と神経系の機械への接続技術が確立し義体化(サイボーグ化)や義体などのリモート操作を可能とした。

↓以下ネタバレビュー↓
(09’8月2回目視聴)
各疑問について答える。
■26話のリンゴについて■
久世は難民の記憶(とゴースト)をネット上に連れ去り新しい生命としての進化を促そうとしていた。
26話で地下に閉じ込められた時その思想(=革命)を語り素子に「一緒に来るか」と誘っていたが、素子はリンゴを噛まずにその意を断った。ちなみに旧約聖書において「リンゴは知恵の実、それを齧ることはエデン(人の世)からの追放を意味している」らしいです。久世はリンゴを渡し素子に一緒に人の世から進化しないか、と誘っていたと受け取れます。リンゴを齧らなかった素子はそれを断ったと受け取れます。また、最後にバトーと一緒に保護されたティルトローターの中で久世がリンゴを齧った後と、何か腑抜けた顔の久世、それを見た素子が「お前・・・」といっていますが、あれはリンゴを齧った久世が人の世の上部構造(?)にシフト=逝ってしまったと感じた素子が「お前・・・逝ってしまったのか」みたいな意味で発した言葉だと受け取れるんでしょうか。真相は不明です。
■久世について■
4話「茅葺総理襲撃事件」より登場。生い立ちは、素子と子供の頃に偶然一緒に乗り合わせた飛行機墜落事故で2人だけ生き残る。
しかし事故で顔と左手以外の自由を奪われ家族も失くした久世は、心を閉ざし悲愴な入院生活を送っていた。隣には素子が酸素マスクをつけたまま寝たきりで入院していた。彼は彼女だけを本当の家族のように思い、何とか治って欲しいと左手だけでひたすら鶴を折る生活をしていたが、ある時容態が急変して彼女はどこかにいってしまう。辛い境遇の中で寝たきり彼女だけを信用していた久世はそれすら失って更に心を閉ざした。ひたすら鶴を折る日々。そんな中担当の医者は「うまくいけば元の生活に戻ることができる」と折に触れて久世に全身儀体を薦めていた。しかしもはや今までのような暮らしにすら興味が失せていた久世は拒否し続ける。医師に連れられ久世の元を1人の全身儀体の少女が現れる。あの時容態が急変していってしまったと思われてた素子だった。しかし少年も少女もお互いのことは知ってか知らずかそれには触れずに過ごした。少年の元を訪れる少女。ある日少年は「左手で鶴を折れたら自分も全身儀体にする」と言う。しかしまだ微妙な動きに対応できない少女は鶴を折ることができなかった。少年は諦めた。それ以来少女は「今度は私があなたのために鶴を折る」と言い残して去った。その後彼は全身儀体にして、大人になった彼は出兵する。その前にこの思い出預かり屋(11話参照)にこの思い出を置いていく。偶然素子が立ち寄りこの思い出を聞く。もちろんお互いに名前は知らなかった(つーか偽名)からそれが今追ってる久世とは分からなかったが、自分の過去を思い出し感傷に浸る(?)。素子がその自分の「初恋の少年」が久世だと
気づくのは久世の電脳にダイブした時・・だったと思う。
で、その後の久世だが、16話で2024年に内紛の続く朝鮮半島に国連平和維持軍として出兵。しかし山賊と成り下がっていた軍に嫌気が差し(?)逃亡、その後アジアを転々として難民にはローと呼ばれていた。この間自分の思想の再確認の時間が欲しかったといっているが、久世を落胆させたのは「難民の無頓着さ」だった。自分たちが原因で争いが起きているのに自分達に都合の良い情報に踊らされ、都合が悪いことには目を瞑る。というか考えようとすらしない。無頓着。そんな姿に落胆した久世は「難民」に「復讐」と「救済」を与えるべく=「革命」を実行するべく日本に姿を現した。らしい。
ハブ電脳を介して300万人という巨大な難民集団に自分の脳にアクセスさせ、思想を広げていく。
なぜこれ程に難民達が彼の思想に共感したかは分からないが、全編通して何らかのカリスマ性がなす業のように描かれている。
ちなみに「個別の十一人」にかからなかったのは「個別の十一人」という方法で「難民解放」しようとする以前に自分の信念(=革命)を持っていたからだと思われる。一人だけ自決を逃れた。
また、最後にCIAの〜に「貴国にはコントロールできない指導者はいらない」と言われ殺された。
■個別の十一人■
内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官、合田一人によって放たれたウイルス。
日本にのさばってる難民の中の実力者(難民上がりの社長、難民上がりのラッパー・伝説、難民支援団体など)を殺して難民の怒りを逆撫でして、難民の武装蜂起or難民対自衛軍の戦争をけしかけていた。最終的には難民を武力制圧?してどうにかして落としどころをつけるつもりだったらしいが、とかく「難民解放」の結果は合田にとってはどうでもいいファクターの1つであり、これを利用してかねてからの自分の思想の流布、つーか英雄のプロデュースをしたかったらしい。しかしそれを実現したからといって合田に何か利益が回るわけでもなく、ただ「自分を大きく見せたい」という自己満足のために動いていた。
最後は米帝CIAと共に亡命しようとしていたことから、一連の難民蜂起→武力鎮圧の流れは裏で米帝が糸を引いている可能性を示唆した。米帝主導の安保早期締結&難民問題を米帝の有利なように取り計ってもらうかわりに米帝への亡命後の高い地位を約束していた。米帝=アメリカ帝国。
ついでに内閣官房長官の「高倉」は合田の直属の上司にもかかわらず直接の面識はなく、親米派の高倉が安保の早期締結&首相更迭を狙っていたのと偶然思惑が一致しスタンドアローンな関係だがお互いに一致した方向性で進んでいたようなふしである。
■2話の男■
物語はこいつの妄想の中で進む。高級料亭にて何度も暗殺シュミレーションをする男。妄想と現実が混同してる。
(なぜ・・片倉?・・さっき殺したはずなのに) (ヘリコプターの中にて)
素子が相次ぐ難民による庁舎襲撃事件について調べる上で(このときの姿はデコットの高級娼婦ヒララ、顧客に片倉もいたため片倉も調査してたと思われる)接触したがこいつはただの妄想野郎で計画を実行に移すことはないと見限った。哀れな程真実を知らないプロレタリア。ラストのシーンで男のアソコから流れた血は何だったのだろうか。これも、素子との会話すらも妄想であるのかも知れない。
■合田が9課に嫌がらせをする訳■
首相直属(首相の切り札)なので首根っこを掴んでおかなきゃ厄介。